古民家再生物語「筑前のアトリエ」の巻(1)(2)

これは古民家が「私の仕事場」として再生する物語です。


第壱話

吾輩は100年前、いや、もっと昔、筑前の国と云われていた頃かもしれない、
この地に生まれた。
30年間も空家になっていた。

吾輩は博多(福岡市)と小倉(北九州市)の中程で、
かつての唐津街道の赤間宿と青柳宿の間の片田舎にあり、
静かな丘陵地であった。
近年、宗像バイパス(R3号)や、高速道路が出来、団地があちこちに出来、
急に騒がしくなった。

実はもう少しで吾輩は解体処分されてしまうところであった。
吾輩を救ってくれたのは、「田主丸のぎゃらりー」でお世話になったメンバーである。

移築してもいい古民家がある。
一度見てみないかと、左官の吉水さんが、大工の中村さんに話しがあり、
古民家再生の専門?の建築家のムラさんに。

雨漏りはしているが今ならまだ間に合う。とムラさん。
早速、ホームページで呼びかけることにする。

「古民家情報No.2103福間2」
として
吾輩の哀れな姿をインターネットのホームページとやらに登場することになったのである。

吾輩はどうなるのだろう。
いい人に巡り合えばいいのに、と期待と不安の日々を送ることになる。

(2002年4月15日)


第弐話

あれから暫らくしたある日の朝
ムラさん
吾輩を自分の仕事場として再生すると言出した。

こんな家に住めるのか。

雨漏りは少なくとも2箇所あり、外壁の土壁は剥がれ落ち、屋根のトタン板が剥がれ、
又何箇所かは浮き上がっているし、雨戸の板も剥がれているところがある。

更に、モノが溢れている。井戸はあるが30年間使われていない。
かまどはあるが使えない。

風呂とトイレは別棟である。
風呂は五右衛門風呂で錆びて穴が開いている。おまけにまわりの地盤の方が高く
排水が出来ない。

こんなの家でない。
辛うじてトイレは使える。もちろん汲み取り式ではあるが。

ムラさんは仕事場として使いながら再生するという。

まず、家の前にあるニワトリ小屋を解体する。使える材は全て残すことにする。

玄関前のトラクター置場の下屋を撤去する。

少しづつ本来の吾輩の姿を現し始める。

元、牛小屋であったところを、6帖の畳敷きの部屋に改築してあるので
この部屋を片付け、とりあえず一部屋確保することにする。

電気工事はこの6帖と玄関の土間のみとし、あとは引越してからにする。

ムラさん、ついに引越しを始める。まだ、ほとんど片付いていないのに。
何もかもこの6帖に詰め込むしかない。
肝心の押入れが雨漏りしていて荷物が入れられない。

引越してから雨漏りを直すとは本末転倒している。
さすがの吾輩も呆れる。

アトリエの看板を取付ける。

建築家のアトリエとはとても思えない廃屋のまま
「筑前のアトリエ」
として
吾輩は生まれ変わることになる。
平成14年4月1日
エイプリルフール
この物語は嘘のような本当の話です。

無謀な引越しが終わり、
ムラさん、荷物の中に埋もれて仕事をする羽目になる。
まるでアウトドアのような生活。
今年ははやく暖かくなってよかった。

食事はカセットコンロと電気ポットで、洗濯は近くのコインランドリーで
風呂は近くにあるの300円で入れる温泉で、
街を家にした暮らし。

つづく

(2002年4月15日)

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